思い出だけで生きていけるなんて言葉があるけれど、目の前にいるユキさんはとてもじゃないけどそんなふうには見えなかった。どんな思いで毎晩アルバムを捲っているのだろう。何度過去の思い出を巡らせては、自分の知らない遠い世界へ行って、もしかしてもう二度と戻ってこないんじゃないかって、そんな気さえする。
張り裂けそうなくらい胸が痛い、みぞおちが深く痛い。憐れむ気持ちと妬む気持ちがない交ぜになる。
ねえ、ユキさん。オレだけ見て。もっともっとよく見て。


# も っ と も っ と よ く 見 て