沈む舟

川の浅瀬には緑の苔と草の葉が浮いており、そこには人影が、というよりまるでそれは死体のような姿で彼はいた。横たえた身体の半分が水に浸かり、それでも息をしている。流れる水は彼の黒髪を梳かし、水分を含んでやわらかくなった白い素肌は透明の中でゆらゆら揺れる。誰が迎えに来てくれるのだろう。準太はわからない。もう誰も引き上げてはくれないかもしれない。
いつかいつか誰かがと望みながらも沈む舟。