その小さく丸まった細い背骨の形や、震える肩をすくめた首に、自分を守るように絡まった腕を見たらなぜだか満たされたような気持ちがした。
床に顔をうずめて、まるで泣き声を押し殺すかのように息をしているのがわかる。そこから漏れたわずかな呻き声に、ずたずたに切り裂いてしまったという感覚が蘇り、 何かが自分の奥底からじわじわと広がりだして、その何かは確実に俺の一部分を動かしているに違いなかった。例えばこの無力な手のひらだとか、お前を傷つけるための口先だとか。

「こっち、向けよ」

そう呟くと、肩がびくりと痙攣するように反応して、それからゆるゆると重たげな首が持ち上がった。 不安そうに怯えた目と目が合うと、なんの力も持たない指先が頬を伝って頭の後ろへ回り、赤く腫れた目が大きく見開かれて、何かを言わんとばかりしている不安定な下唇に噛み付いた。何度も角度を変えると、次第に血の味が口の中に広がる。薄い唇を舌でひと撫でして、最後に、俺は可愛いお前の瞳を冷たい目線で犯して、自嘲するように口の端をゆるく吊り上げる。


(・・・どうして俺は、歪んだ愛情ばかり)



エニー・メニー