脱がせた女の裸はなんともみすぼらしい、細く痩せた、あどけなさの残るただの少女の裸に違いなかった。うっすらと見える青い筋、浮き出た骨、それと爪を立てれば裂けてしまいそうな皮膚の白さ、に、手を伸ばす。左腕から肩、鎖骨、そしてまだふくよかとは言えない乳房を撫でる。顔を窺うと斜め下に揺れる目線と呼吸、(そうだこの女はこの胸の奥で息をしているのだ)を感じた。
瞬きをする速度はいつだって一定だ、その睫のふるえが欲しくて唇を近づける。びくり、と目が鳴った。その目に映る景色をくれないか、と眼球をねだったことがある。無論それは却下されてしまったが後にひとつくらい手に入れてもいいと思っている。
女の癖のない髪が垂れて、先程から甘い匂いがやけに鼻につく。求めているものはこんな蜂蜜のような匂いではないというのに。仕方なしに頬をひと舐めして、本当はその流るる液体を食べてしまいたいという欲望を抑えつつ首筋を食いちぎらないように噛む。強く噛みすぎたのか、う、と呻く声、がして、無防備な喉の、唾液を飲み込む動きがどうにも魅惑的だった。そうして向かう鼻先が胸へ、腹へとすべり落ち、女の指先が(何を求めているのか)さまよいながら身体を這う。
濡れた狭い穴に指を入れると、なんとも温かな肉の感触と独特のぬめりが纏わりついた。動かせば、女の身体が反応し、甘い吐息が漏れる。目の前には母親と子とをつないでいた痕があって、そのもっと奥に、何かが見えそうな予感がした。もしあの女の腹の中に顔をうずめたらどれだけ温かで甘美な音がするのだろう、と思い、すり、と頬擦りをしてみる。そして想像した。ああ、なんて濃艶で恍惚とした響き、思うだけで涎が口の中を這いずり回る。
意図なんてしないまま指を動かしていると、女の腰がゆるゆると動き始め、ふと、手繰るように引き寄せられる。髪に指を絡ませて、あっ、と仰け反った首に、どくん、どくんと波打つ心臓の音。

まだそのときではないからと抉り損ねた指の先は女の粘液で濡れ、どろりと輝いている。