胃に詰め込めるだけ詰め込んで、もう箸なんか持つのも面倒で、目の前のありったけの食いもんを素手で掴む。べたべたに汚れた指にだらしない口の周り。充血した目。ぐちゅぐちゅと顎に響く音。獣になった俺。そうして噛むうちに口の中のものが人の肉のような気がしてきてようやく俺は嘔吐する。
今日はあいつの妄想だった。
俺におびえるような指で触れた、つり上がった目が一瞬だけ大人しくなる瞼、開けた口から見えた歯の尖り、狂犬。無抵抗の白い腕を食いちぎる。骨に食い込んだ俺の歯の軋み。じわりと赤い血の海が広がって鉄の錆びた味のあいつが。あいつを。おえ、と異物が身体から抜けていくときの快感ったらない。快楽は痛みだ、生きている痛み、愛おしい俺の。

吐き足りなくて手を突っ込む。このまま喉を突き破って窒息死。


愛おしい俺の