(もうずっと願って望んでやまないんだ、今すぐにすべてに飽きればいい、息なんかも止めちゃって)
白く磨かれた陶器の破片が床できらきらと輝き、その眩しさに目を手で覆った笹塚の口が小さく動く。
胃からアルコールが蒸発し、吐き気と眩暈と頭痛、心の軋み。
皿の割れる音が耳にこびりついて、それからヒステリーを起こした女の悲鳴がその奥でまた割れる。
身体の異常も精神の異状もなんとか飲み下すようにして震える手で白い欠片を拾う。
(これ、ぜんぶくっつけられたら竹田さんは俺を抱いてくれるかな)
乾いたように笑ってゆっくりと指先に力を込める。
じわりじわりと赤が広まりついには床全体が血の海となりそこで俺は溺死する。
現実を見れば一点の染みしか見当たらない。
(じっくりと、甚振るように、俺を裏切ればいい)
俺は俺がすべてに飽きすべてを終わらせるそのときを今か今かと待ち望んでいる。

p e a c e