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そう締めくくらられた歌詞の右上には、リリース予定なしと書かれてあった。君と僕ではなく、あなたと私。 机に覆い被さり、腕を枕にして眠っている千の、すぐ隣にあった五線譜。はらりと落ちそうなところを手に取ったのだった。せっかくできた曲なのにリリースなしとはどういうことなんだろうと、百は斜めに書かれた筆跡を追う。 千の曲作りは極端で、突然何かが降りてきたように筆を取る。荒々しく音符は飛び跳ね、何度も何度もコードは書き直され、速さを重視した文字が歪む。小さく書かれたBPMからいって、バラード調のラブソングだった。 歌詞を読んでみると、これまでの過去が綴られているようでもあり、自分のことも歌われているような気がした。繊細な千の胸の内から溢れる誰かを救い上げる言葉と、頼りないちっぽけな自分だけれど、これからも前を向いて一緒に歩いていきたい、そんなことが書いてあった。楽譜には、リピート記号。 これをユキに歌われたら死んじゃうな。かあっと頰が熱くなった百は気恥ずかしくなりながら、千にブランケットをかけてやろうとしたとき、折り目のついた紙の裏に付箋が残されていることに気がついた。桃色のそれにはメッセージが添えられていた。読んでみる。 モモへ 後で、答え合わせをしよう 百は目を大きく見開き、ぱちぱちと瞬いた。 舞い上がっていいだろうか、今すぐ千を抱きしめてもいいだろうか、嬉しくて、泣いてしまってもいいだろうか。 思う前から涙が溢れてきてぐずぐずになっている百は、その場に立ち尽くして動けずにいる。鼻をすんすん鳴らして、誰かのために一生懸命になれる自分を、千を、愛おしく思った。 百は、付箋に追記する。 ユキへ オレにも同じものが見えてるよ # あ な た の 知 っ て る 未 来 を 私 に 教 え て |