記録を次々と塗り替えていくのは、まるで怪獣が世界を破壊していく姿に似ている。白い画用紙にクレヨンで描かれた、フィクションでしかない稚拙な怪獣だ。目の前の景色はどうだろう? 自身の存在が大きくなりすぎて何も見えない。実際に手にしたものは喜びではなく、未知の領域に踏み入れたという現実と、まだ誰も知らないその先があるという大きな空白だった。
フィギュアに捧げる切実な祈りと、切り取られた自分と、失った年月と、一生得ることのない普遍的な人生と、これからの自分ができること。目標のハードルを越えるたびに、いつまでこれを続けたら楽になれるのか、どれだけ壊せば満足できるのか、世間のフラッシュを浴びながら考えていた。全てを手放したらいよいよ自分の中で暴れていた怪獣を殺さなくてはならない。

人間ではなくなってしまった、もとから人間ではなかった。多くを望むでもなくその残酷さを享受していたのに、鴗鳥慎一郎という人物がそんな自分を変えた。感情を与えられたのだと、愛情を教えられたのだと思った。うまく返せているかはわからないけれど、誰もが恐れる怪獣になった僕のことを受け止めてくれたのは、彼だけだった。
静かに呼吸を止めれば、怪獣も息を潜めるだろう。真っ白く雪の吹き荒ぶ、前も見えない景色が途方もなく広がっている。寒さで喉が凍りそうだ。ここなら怪獣も安心して暴れ回れるだろう。
誰にも見つからない地で立ちすくむ。僕の気持ちはどうだろう。もう一度愛を教えてほしいと、子供のように、怪獣が悲しいと泣き叫ぶように、言えたらよかった。


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