私はたった一度だけ、ミスをした。あなたのように完璧にはなれなかった。美しいバレリーナには、程遠かった。
私はあなたになりたかった。なれなければ死ぬんだと思っていた。でも私は、なれなかった。
割れて散らばったガラスの破片がちっぽけな少女の姿を反射する。私は誰なんだろう。時の止まった部屋を見て、彼もまた人間だったのだとそこで初めて知る。

つやつやぴかぴかざらざら。街の焼ける匂い。
するするさんさんきらきら。陽の当たる緑の揺れる音。
アイスリンクから出てみると、その眩しさと騒々しさに自分を見失ってしまう。私は氷の上を踊るだけの人形じゃない。ねえ、私を見て。ちゃんと三十六度の血の通った人間だから。

私は、女であることを一度だって恥じたことはない。ただひとつだけ。生理不順を医師に心配され、たったそれだけのことに彼からの侮蔑を感じ取り、あまりの絶望に死にたくなった。それをコントロールできなければ、女である以上一生、差は確実に開くのだ。
私は知っていた。彼に特定のパートナーがいないこと。それどころか異性を愛せないということまで。
私だって、あなたが抱けない分まで誰かを愛してみたかった。そうしてあなたを抱きしめてあげたかった。もうそんな感情しか残っていなかった。愛情は誰かのためという義務でしかない。男が女を愛するという構図は世界がひっくり返っても変わらない。なぜなら、子孫が繁栄できないから。

いつまでも私の先生でいてよ。ずっとあなたの光でいるから。
書き置きしたメモは一生読まれることはないかもしれない。それでも私は、夜鷹純という愚かな人間のことが好きだった。


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